泉質の違いは何に効くのか。硫黄泉・炭酸水素塩泉・塩化物泉
看板に書いてある泉質名の意味を、体感に置き換えて説明します。

- 硫黄泉 — においが強い。銀製品が変色する
- 炭酸水素塩泉 — 肌がつるつるする。「美人の湯」と呼ばれる
- 塩化物泉 — 湯冷めしにくい。北海道の冬に向く
温泉の入口には泉質名が掲示されています。読んでも何が違うのか分からない、という人向けに整理します。
硫黄泉
卵が腐ったようなにおいがする湯です。北海道では登別や川湯の周辺に多くあります。
特徴は分かりやすいです。
- においが強く、入ったあと体に残る
- 湯の色が白く濁ることがある
- 銀やシルバーのアクセサリーが黒く変色する
最後の点は実害が出ます。指輪やネックレスは外して、脱衣所のロッカーに入れてください。変色したものは磨けば戻ることもありますが、手間です。
肌が弱い人には刺激が強い場合があります。長く入らず、出たあとに真水で流すか流さないかは体質で判断してください。
炭酸水素塩泉
いわゆる「美人の湯」「美肌の湯」と宣伝される湯の多くがこれです。
入ると肌がぬるぬる、つるつるします。皮膚の表面がやわらかくなる作用があるためです。湯上がりの感触がはっきり違うので、泉質の違いを体感したい人には分かりやすい湯です。
注意点は、乾燥しやすいことです。表面の脂を落とすので、湯上がりに保湿をしないと冬は肌がつっぱります。
塩化物泉
塩分を含む湯です。北海道には海沿いにも内陸にも多くあります。
いちばんの特徴は湯冷めしにくいことです。塩分が肌に膜を作り、熱が逃げにくくなります。冬の北海道で、温泉から出て駐車場まで歩くときに差が出ます。
舐めると塩辛い湯もあります。傷があるとしみるので、ひっかき傷などがあるときは覚えておいてください。
単純温泉
「単純」という名前から質が低い印象を受けますが、違います。成分の濃度が一定の基準を下回るという分類上の呼び方です。
刺激が弱いので、肌が弱い人・子ども・高齢者が入りやすい湯です。長く浸かりたい人にも向きます。
どれを選ぶか
| 目的 | 向く泉質 |
|---|---|
| 温泉らしさを味わいたい | 硫黄泉 |
| 肌の感触を変えたい | 炭酸水素塩泉 |
| 冬に体を温めたい | 塩化物泉 |
| 肌が弱い・長く入りたい | 単純温泉 |
「源泉かけ流し」の意味
泉質と別に、湯の使い方の表示もあります。
- 源泉かけ流し — 湧いた湯を常に注ぎ、あふれさせる
- 循環 — ろ過して再利用する
- 加温・加水 — 温度調整のため加えている
かけ流しのほうが湯の鮮度は高いですが、循環が悪いわけではありません。衛生管理のために必要な施設もあります。表示を読んで、好みで選べば十分です。
北海道で泉質が多様な理由
北海道には火山が多く、湧いている湯の種類も幅があります。同じ道内でも、数十キロ離れると泉質が変わります。
- 登別 — 狭い範囲に複数の泉質が湧く。硫黄泉が有名
- 洞爺・支笏 — 湖畔の温泉地。塩化物泉や単純温泉
- 川湯 — 強い酸性泉。金属が錆びるほど
- 十勝川 — 植物性の成分を含むモール泉。茶褐色の湯
このうちモール泉は北海道以外では少ない種類です。泥炭層を通った湯で、色が茶色く、肌がなめらかになります。十勝を通るなら一度入ってみる価値があります。
酸性泉は注意が必要
川湯のような強い酸性の湯は、刺激が強いです。
- 目に入ると痛い。顔を洗わない
- 傷があるとしみる
- 長湯しない。10分程度で出る
- 湯上がりに真水で流すほうが肌が荒れにくい
効き目が強いということは、体への負荷も大きいということです。初めて入るなら短時間から試してください。
入り方の基本
泉質に関わらず、共通して守ったほうがいいことがあります。
- かけ湯をして体を慣らす
- いきなり肩まで入らない。足から入る
- 一度に長く入らず、出入りを繰り返す
- 前後に水を飲む
特に冬は、寒い脱衣所から熱い湯に一気に入ると血圧が急に動きます。かけ湯を省略しないのが事故を避ける一番の方法です。